Vol.1 café de ITO
― はじめに ―
はじめまして。
喫茶店に行くと初来店でも堂々とカウンターに座りマスターとお話し(もはや、グルメ雑誌の取材並みにマスターへ質問してしまう)することが大好きな珍しい若者です。
そこでマスターの高齢化や後継者が不在などのお話をよく聞くのですが、その度に胸が痛くなる。
少しでも賑やかな店内が続いてほしい、そんな願いがこもる素敵で大好きな喫茶店たちを紹介します。
私が “ 好き ” だと感じる喫茶店の特徴として
- 築50年以上
- お湯んできた人生を楽しく話してくれるマスターが営んでいる
- 外観や内観にお店の特徴がある
- こげ茶の木製家具やレンガの壁を貴重とし、オレンジの光を放つ照明や硝子窓がある
- 美味しいサンドイッチやナポリタンやプリン、ウインナーコーヒーやミルクセーキがある
以上をご覧になり気が合う!と思ってくださった方はぜひご参考に、温かい目で記事を愉しんでいただけると幸いです。
前置きが長くなってしまいましたが、1店目へ参りましょう。
Vol.1は、大阪の天満橋のすぐ傍にたたずむ1966年創業の老舗の純喫茶【café de ITO】です。
土日祝が定休日の喫茶店。
どうして土日祝にお休みされているのか尋ねると、
「 旅のツアーって、だいたい土日なんですねん。
夫婦で旅行に行きやすいから、土日を休みにしてます。 」
と、返ってきました。
なんて素敵な人生を過ごされているんだと衝撃を受けたことを鮮明に覚えています。
コロナ前は、ご夫婦で年に4回ほど飛行機に乗り海を渡っていたそうです。
「 ほとんどの国へ行ったと思います。
ヨーロッパもええけど、インドもよかった。 」
と、いつも楽しそうに話してくれるマスター。
つい先日お店に伺ったとき、
コロナになってから海外へ行きづらくなってしまいましたね
と尋ねると
「 コロナが入ってきて2年どこにも行かなったけど、
来月、嫁と国内旅行しようって言ってますねん。
新婚旅行で行った鹿児島にしよう、って話して旅館も決めましてん。 」
と話してくれて、やっぱり、なんて素敵な夫婦なんだろうかと思いました。
店内は、こだわりがいっぱい。
ランプや一本木のカウンター、旅先で買った置物…
すべてマスターが調達したものだそうです。
「 好きなものを集めたら、こうなりました。 」
と話すマスターのセンスが光る内装です。
café de ITOで有名なのは“インディアンオムライス”で、マスコミの取材を何度か受けられた影響で多くの方はインディアンオムライスだけを頼まれるそうですが
「 水出しコーヒーが美味しいのにな、、っていつも思いますねん。 」
と、マスターがポツリ。
小さな氷が適度に入った綺麗なグラスに、香りも苦みもしっかりと舌で感じられるにも関わらず、すごく飲みやすい水出しコーヒー。
食中に飲んでも食事を邪魔せず食後にも飲むとスッキリする、不思議なコーヒーです。
「 お嬢ちゃんは、めずらしい。
若い人はスタバやコンビニのコーヒーで充分やもんね。
だから純喫茶はどんどんなくなっていっちゃうんよ。 」
と、悲しい声ながらも笑顔で話してくれたマスター。
ナポリタンも、お値段の割に具だくさんで、とろっとしながらもあっさりとした味付けで美味しいですよ。
マスターの奥さんがお店に立たれていた日は話しが弾み、
「 良かったら、2階見ていく? 」
と言って案内してくださいました。
貸し切りで使える席や旅先で買われたお土産や必要な時に使われるカップ&ソーサ―が綺麗に並ぶ食器棚。
先日お店へ伺った時に聞くと、食器はすべて売られたそうで、2階は完全に使われていない状態になってしまったそうです。
継がれる方がいらっしゃないそうで、こうして規模を小さくされていることに悲しい気持ちが溢れてしまうほど、素敵な純喫茶です。
美味しいコーヒーと雰囲気を愉しみに、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
【 café de ITO 】
天満橋駅から338m
営業時間:7:00~18:00
定休日:日祝
席数:13席(カウンター9席、テーブル4席)
禁煙・喫煙:全席喫煙可
支払い方法:電子マネー不可
電話:06-6352-5210
※すべての写真については許可を得て撮影しています